学校の先生から聞いた話です。
その学校は古い学校のため、校舎の老朽化が進んでいました。
そのため、地震への備えから校舎に耐震補強の工事を行っていました。
日本の場合、どの地域においても地震が発生しない保証はないので、必要な処置だと思います。

工事が始まってからしばらくして、近隣の初老の住民が、学校に抗議に来たそうです。
その日に授業が無かった教務主任の先生が対応しました。
住民が、
「何をやっているんだ。」
と聞いたそうです。
先生は、
「校舎の老朽化が進んでいるため、耐震補強の工事をしています。」
と答えたそうです。
すると、住民は、
「そんなことは判っている。何が目的でやっているのだ!」
と聞いたそうです。
先生は、相手の意図していることが判らなくて、しばらく考えてから、
「地震の被害を防ぎ、子供たちの安全と命を守るためです。」
と答えたそうです。
すると、住民は怒って、
「そんなものは、税金の無駄遣いだ!」
「日本の財政が厳しいのだ、もっと、他の重要なものにお金を使え!」
と言ったそうです。

結局、話に折り合いがつかないため、校長先生にも来てもらって、
「県の予算で決めて行っていますので、県の方に問い合わせてください。」
と、お引き取り願ったそうです。
子供たちの安全や命よりも重要なもの。
その住民が挙げたものは聞いていますが、ここでは記載しません。
東関東大震災の後しばらくしてから、新聞である投稿を見つけました。
ある若い女性の投稿です。
震災の時、その女性は、おばあちゃんと一緒に家にいたそうです。
地震がおきて、津波が襲ってくるので、大至急、高台に非難するように指示があったそうです。
その女性は、おばあちゃんと一緒に逃げたそうです。
ところが、おばあちゃんは高齢のため走ることができず、途中でしゃがみこんでしまったそうです。
女性は、おばあちゃんをおぶって逃げようとしました。
その時、おばあちゃんが、
私のことは、放っておいて、一人で逃げなさい!
と言ったそうです。
女性は、「おばあちゃんを置いて逃げるなんて、そんなことはできない。」と、言いました。
おばあちゃんは、
何を言っているの!
いいから、早く逃げなさい!
と言ったそうです。
普段は、いつも優しい優しいおばあちゃんが、
その時は、今まで見たこともない、とてもとても恐い顔だったそうです。
女性は、意を決して一人で逃げたそうです。
そして、津波の被害を受けなくて済みました。
後日、女性は、おばあちゃんの遺体と対面しました。
「おばあちゃん」
慟哭して、涙が止まらなかったそうです。

そういうことだと、思います。
たとえそれが、自分の子や孫であっても、
他人の子や孫であっても。
子を持つ親として、
子供たちの命より大切なものがあるというのなら、
教えて欲しいものだ!
と強く感じています。
コメント